435話突然の出来事

「もしもし、ダニエル、まだ聞いてる? もう出たの? 婚約パーティーまで時間がないのよ。いつ着くの?」

電話の向こうのゾーイの声には、焦りと不安が色濃く滲んでいた。

その声に、ダニエルはぼんやりした意識を引き戻される。

だが視線だけは、名残惜しそうにエミリーから離れなかった。

エミリーとダニエルの目が合った。彼女には、彼のまなざしに宿る強い熱と愛情がはっきりと伝わってくる。

「心配するな。時間どおりホテルに着く」

ダニエルは低い声でそう答えると、電話を切り、耳障りな声を遮断した。

最初から最後まで、彼の目は一度もエミリーを離れない。

その視線に気づいたエミリーは、甘く微笑んだ。

...

ログインして続きを読む